日記
職人の話
6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱というドラマが好きで、欠かさず見ているのですが
最近すごくハッとしたやり取りが二つほどあって
※ドラマの内容に触れるので、知りたくない方はご注意ください
一つは星太郎(主人公)が父に「親父は俺に仕事継いでほしいと思ったことある?」
と尋ねた場面で父が
「継いだほうがいいかなと思って継ぐなら要らねえよ。やりたいならやればいい」
と返した場面です。
僕の実家は今年で122年目になる精肉店で、それを周りに言うと
「継がないの?もったいない」と言われるのですが
そりゃあ僕だってそうは思うし、違うことをやってるのを申し訳なく感じていますよ。
でも商売ってそんなに簡単じゃないし、刺身一枚切るのだって肉屋と魚屋が切るのでは大違いなんです
それぐらいに、父親の仕事はすごいと思うのです。
※このあと数行にわたって愚痴が書かれていたのですが、その下書きを読み返したらさすがにひどいなと思って削除しました笑
ちなみにうちの父は「肉屋やれ」とは言いません。どう思ってるかは知りませんが
ただ、関係ない周りの人に「肉屋継げば?」と言われたら「継いだらほかで肉買うなよ?」と言いたい気持ちを抑えて
「ですよねー」と作り笑いを浮かべるくらいの寛容さは、僕にだってあります
もう一つは
火薬の配合という門外不出のレシピを同業者に見られて動揺する主人公に、住み込み従業員が
「料理ってね、レシピ通りに作っても同じようにできないんですよ」と諭すところです
これはおそらくお菓子屋さんとかパン屋さんも、あとコーヒーを焼いている人も気にする部分だと思うのですが
季節というか気候(気温や湿度など)でなんとなく調整している部分ですよね。
ようは職人と呼ばれる人たちが、言葉では伝えられない部分だと思っています。
僕も一応は作業療法士という職人だと、自分では思っています。
医学的根拠だとか研究データとかをないがしろにするわけではないけれど
人対人だからこそ、生きている場面で自分の中にある過去の経験とか毎日積んできたものが活きる
山梨の師匠がそんなことをよく言ってました。
確かにそうなんです。
前回の日記でも書きましたが、こうすればこうなるだろうというある程度の予測をたてて臨んで、そこでイレギュラーにどう対応して場面を作っていくかというのが腕だと思っています。
事前に準備したものほど失敗するし
前回反応が良かったからって今回もうまくいくとは限らない。
どんなにお膳立てをしても、相手の神経系がどう知覚して解釈して表出してくるかなんてわからないことの方が多いのです。
それは対象者の体調や心境による部分もちろんですが、療法士側にも不確定要素はあります。
常に同じパフォーマンスができるようにコンディションを整える。
不測の事態に対応できる技術と気持ちを鍛える。
その上で自分という個性を表現していく。
そんなことができたらいいなーと思って仕事しています。